成田空港までのちょっとしたストーリー

2017年12月16日。
北京への出張のために成田空港へ向かった。15時15分発のチャイナエアーに乗るために、自宅の茅ヶ崎を出発したのが10時半、駅で11時10分大船発の成田エクスプレスを予約し、東海道線に乗車、大船で成田エクスプレスに乗りかえるまで順調だった。
が、発車時刻になって動かない。ほどなくして車内アナウンスで、横浜鶴見間で電気系のトラブルとのこと。しばらく車内でお待ちくださいと言うことで、止まった成田エクスプレスのワイファイを使って20分ほど仕事をしていた。
そして、乗務員が電気系の復旧には時間がかかるため、この成田エクスプレスは運休が決定しましたとのこと。そして電気系のトラブルのため、他の東海道線、横須賀線、京浜東北線など全て動かないらしい。

さて、どうしたものか?横浜までタクシーで行き、リムジンバスが正解か?その人数が多いと混乱もありそうなのでタクシーで羽田空港まで行きリムジンバスか、いづれにしてもタクシーしかないと思いタクシー乗り場に向かうことにした。駅前の道ですぐにタクシーを捕まえられればいいが、どうも駅前では乗せないルールのようで捕まえられない。

いざタクシー乗り場は長蛇の列。近辺のタクシー会社に連絡しても30分はかかるという回答や、電話がつながらないところも多い。そしてタクシー乗り場に来るタクシーが3分に一台くらいのペースの中で、乗っている人は我々同様、横浜などの遠い距離を乗る確率が高く、タクシーはますますこのエリアから無くなっていくはずだ。
成田エクスプレスで同じ車両に乗っていたおじさん(たぶん60代)とタクシー代を割り勘にしようと話していたが、どうもこの時点で本気で間に合わない感じになってきていることに気付き始めた。

まだ、そのままタクシーの列を待っていれば30分はかかるかと思われた11時50分。おじさんが気づいた。レンタカーはどう?
すかさず、自分が検索。一番近いトヨタレンタカーでプリウス3時間、成田で乗り捨て、10800円を押さえ、速攻でタクシーの列から離れレンタカーオフィスへ歩いて向かった。
それから手続きして車で出たのが12時5分。車のカーナビの成田空港の到着予想は14時半を示していた。おじさんのフライトは15時、自分は15時15分。チェックインの締切は30分前。つまり、おじさんは14時半までにチェックインしないと間に合わない。レンタカーを返す時間を入れると、かなり危険な状況だった。
大船から横浜新道に出るまでの下道の渋滞を越えるのに約30分。2人は平静を装った会話をしながら、おじさんの焦りは手に取れるようだった。横浜新道に乗ってから、首都高速横羽線、東関道と、おじさんは覆面パトカーとオービスのリスクを背負いながら、アクセルを踏み続けた。

酒々井通過13時45分。おじさんはカーナビの予想を27分上回り、成田空港脇のトヨタレンタカーに到着。一度は安堵した。
が、レンタカーオフィスの返却処理、リムジンの発車がノロい。そしてレンタカーオフィスから成田空港までの小さな渋滞、第2ターミナルを先に回るコース設定に少しずつ追い込まれた。
15時20分過ぎ、リムジンバスを降り、お互いのチェックインカウンターに急いだ。良い旅を、の言葉を最後に。


いま北京から万龍までの約3時間の道中、現地サイドが用意してくれたドライバー付きの高級車の後部座席で、この文章を書いている。あの後、おじさんはフライトに間に合ったのだろうか。運休が決まった成田エクスプレスの中で目が合ってからの、彼との3時間のストーリー。お互いを助け、励ましあうチームメイトのようだった。ベトナムに向かったおじさんのグッドトリップを祈っている。

PS
レンタカーオフィスからのリムジンバスの中で、さすがに親近感もわき、最後に名刺交換をした。おじさんは横浜国大のまあまあ有名な博士だったようだ。

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